「監督、私にあの子を一流の選手に育てられるでしょうか」「うむ、自分の実力を信じて頑張ることだよ、主将」
ベランダに見えるマタタビの鉢植えを前に、最近私シズカとヒロノシンはこんな会話ばかりしてる=写真左。
実は私、先月からイトウ家の柔道部主将を務めてる。まさか1歳半を過ぎてから武道家の道を歩むとは思ってなかったけど、世帯主の希望でもあったし、私は引き受けることにした。で、ヒロノシンが監督なのよね。
「キィ〜ェ〜ッ!」「ン〜ニ〜ッ!」。両前足を上げた構えと掛け声だけは立派なのが、部員のノドカ。先月新しく家族になったおチビちゃん。実は正真正銘の私の妹なの。
チャレンジ精神旺盛な彼女は練習が大好き。私がのんびりラッコ寝をしていようが、ほふく姿でくつろいでいようが、お構いなし。すきを見れば飛びかかってくる。
寝技でやりこめられてもめげないし、勝ち目がなくてもあきらめないから、なかなか練習は終わらない。あまりに激しかったり、組み合ったまま移動していっちゃったりした時は、「待て!」「場外!」といった顧問(世帯主)の指導で一時休戦、組み直すってわけ。
走り込みなんかの基礎練習も厳しいんだけれど、ノドカはへこたれない。おかげで一日の終わるころには、私たちもヘトヘトよ。だから寝る時は泥のように寝込んじゃう=写真下右。
でもね、さすがにヒロノシンには歯が立たないの。勇敢に立ち向かいはするけど、するりとかわされちゃう。でも、私がお疲れモードの時には助けてくれるの。さすが、監督ともなると貫禄が違うってわけ。
最近の私たちの楽しみは、マタタビでの夜の一服。留守中もノドカを世話してる私たちのために、世帯主が毎晩、少しずつ分けてくれる。ベランダの鉢植えは将来、マタタビを自給自足でまかなうためなの。
粉末状の乾燥マタタビをなめたり、乾燥させた枝をカジカジかんだりしてると、ほろ酔い気分に。で、ゴロ〜ンゴロ〜ンと転げ回るのは、う〜ん、いい気持ち〜。
ところが最近、ノドカが割り込んでくるようになった。猫にマタタビっていうけれど、成長しないと反応しない猫が多いのよ。ヒロノシンと私も8カ月くらいになるまでは無関心だった。なのに、ノドカは3カ月で既にメロメロ。で、いっちょまえに私たちと一緒にラリってる。
今からマタタビ癖が悪いようじゃ、先が思いやられる。もっと練習量を増やして精神修養が必要かしら。う〜ん、監督、顧問、どうしましょ?
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<今日の筆者>いとう・しずか
スコティッシュ・フォールド種。1999年大阪豊中市生まれ。しし座。得意技はラッコ寝と、後ろ足投げだしほふく前進。近所の動物病院では「スコティーのシズカちゃん」として人気。2歳年下の妹ノドカと、ヒロノシンという黒い雑種の雄ネコと同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
いとう・ひろのしん
雑種。1998年夏、大阪箕面市生まれ。かに座(推定)。きれい好きで、お人(猫)好し。忍耐強さと面倒見の良さには定評あり。得意技は洗濯機もぐり。しずか&のどかという血縁関係のないスコティッシュ・フォールド種の姉妹猫と同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
★このコラムは某ウェブサイトで2000年1月〜01年9月まで続いた連載コラム「21C(世紀)の猫」のアーカイブです。現在の家族模様を織り込みながら、キャッ!といってしまいそうな楽しい話題をお届けします。
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