サンショウウオは悲しんだ……じゃなくて、私しずかは困っちゃった。だ、だって、入るときはらく〜に入れたバッグなのに、なごんだ後に出ようとしたら出られないんだもの〜!!どうするのぉ〜!?=写真。
それは去年の8月あたまのことだった。毎年恒例のワクチン注射に動物病院へ行く時期がきていたのよね。しかし、トラちゃんが生後10カ月になり、回転レシーブならぬゴロゴロ移動にほふく前進、ハイハイ、つかまり立ちまでするようになって、世帯主の育児生活は日々大変になってた。前は私たちを2回に分けて動物病院に連れて行ってくれてたんだけど、もうそんな余裕はない。で、世帯主は私たち3匹をいっぺんに連れて行くことにしたのだった。 しかし、問題が一つあった。うちには私たちが移動のときに使う専用キャリーバッグが2つしかない。う〜むと考え込んだ後、世帯主の頭にはあることがひらめいた。「そうだ、しーちゃんにはあれがいいわ!」って。
実は私、世帯主の持っているバッグ類が大大、大好きだったのよね。世帯主のバッグをみつけると、中に入り込まずにはいられない。そこでなごんだり昼寝したりするのってこの上ない幸せな時間なんだもの。世帯主が働いてたときには、仕事用バッグをみつけては、中身をほじくりだして中に入ろうと何度もトライして世帯主を困らせてた。今だってトラちゃんとお出かけするときの手提げとか、買い物や散歩のときに使う財布やタオル、携帯電話くらいしか入らないミニバッグのようなものでも、とにかく挑戦してみることにしてる。
そこで、世帯主は収納棚から久しぶりにあるショルダーバッグをとりだしてきた。私が何度も入ろうと試みたものの果たせずにいた代物だった。だって、入り口がいつも紐で結んであるんだもの簡単なことじゃなかったの。紐をほどけばいいんだと気づいて何度も試したけどやっぱり簡単なことじゃなくて、取り組んでいる間に世帯主に見つかってしまってどうしても思いを遂げることができずにいたのだった。
で、口の開いたそのバッグを見た途端、私は喜び勇んで中に入っていってしまった。私たち専用のキャリーバッグは病院にいく目印でもあるから、最近じゃそう簡単に入らなくなっていた私。だから世帯主にとっては一石二鳥だったわけなの。念願のバッグに入れて有頂天になっている間に病院についちゃって、注射だってヘッチャラだった。で、帰宅してからもなかなか出たいとは思わなかったの。
ところが……!満足して外に出ようとしたら出られな〜い!でも、そこはめげない私だから、とにかく何とか外に出ようと頑張った。様子をみにきたヒロノシンやノドカにはもちろん、世帯主にも助けを求めなかった。そこが私の「初志貫徹なしーちゃん」と呼ばれる所以なの。
勿論、しばらくして無事外に出ることに大成功。ただ、出ようと頑張ってたときの私の姿はちょっと恥ずかしいものだった。しかも、その姿をしっかり世帯主にフォーカスされちゃって、やっぱり素直に助けを求めればよかったのかも。
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以上は2005年2月に「じ、自業自得?」という題で別ブログにリリースされた私しずかのコラム。なかなか進みませんが、少しずつお引っ越ししたいと思っているんです。このエピソードにはまだ続きがあり、また近々アップしたいと思います。どうぞお楽しみに。
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<今日の筆者>いとう・しずか
スコティッシュ・フォールド種。1999年大阪豊中市生まれ。しし座。得意技はラッコ寝と、後ろ足投げだしほふく前進。近所の動物病院では「スコティーのシズカちゃん」として人気。2歳年下の妹ノドカと、ヒロノシンという黒い雑種の雄ネコと同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
いとう・ひろのしん
雑種。1998年夏、大阪箕面市生まれ。かに座(推定)。きれい好きで、お人(猫)好し。忍耐強さと面倒見の良さには定評あり。得意技は洗濯機もぐり。しずか&のどかという血縁関係のないスコティッシュ・フォールド種の姉妹猫と同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
★このコラムは某ウェブサイトで2000年1月〜01年9月まで続いた連載コラム「21C(世紀)の猫」のアーカイブです。現在の家族模様を織り込みながら、キャッ!といってしまいそうな楽しい話題をお届けします。
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