毎日暑くてわが家はみんなダウン寸前。ふだんは我慢強い私シズカも飲み水は洗面所の蛇口から出してもらうフレッシュな水でないと飲む気にならないくらい。特に大学院で学生をやっている世帯主(麻布小寅堂店主)はつい一昨日まで集中講義や演習がずっと続いていたので大変だった。
朝一番でフラフラしながら出かけていき、夜ヘロヘロになって帰ってくるという毎日だった。その合間に試験もあったし、レポートを書いたり試験勉強をしたりした後にようやく寝ようとすると甘えん坊ののどかがお腹の上に寝そべるもんだから、なかなか疲れが取れないのだった。
疲れきってる世帯主は「のんのん、あ、暑いんですけど…」というのが精一杯でそのまま寝てしまう。
でも、そんなのどかも一応悪いと思ってるらしかった。最近はお気に入りの場所を見つけて、そこでくつろぐようになった。
それはアマゾン.comの箱。世帯主が「夏休みになったら読もう」と楽しみに注文したいくつもの本を運んできたものだった。ある日、寝ようとしてもやってこないのをいぶかしく思った世帯主が探しに行くと、暗い廊下で「キュルキュルッ」と声がした。よく見ると、玄関前の廊下でアマゾンの箱にはまり込んでくつろいでるのどかがいた(写真)。
何度かにわたって大量に本を買い込んだ世帯主、おかげで箱はいろいろあったんだけど、邪魔になるからと次々捨てられて、一番小さい箱だけが残された。それをちゃっかりのどかが占領しているというわなの。
「のんのん、今日は一緒に寝ないの?」
「キュル……ェッ」
「別に一緒に寝たっていいんだよ」
「ルルル……ァッ」
「本当にそこでいいの?」
「ンルル、キュルル……ァッ」
「わかった、じゃあおやすみ」
「キュルルルル…」
もう6歳半だというのにまだ甘えん坊なところが抜けないのどかも、疲れてきっている世帯主を敷き布団にして寝るのはさすがに忍びないと思ったらしいのよね。
でも、見てるととても快適そうで私も入りたくなってきちゃった。でも、のどかのいない隙を狙って私が寝ちゃおうとすると、どこからともなくやってきて、追い出されちゃう。ひろのしんも密かに狙って何度かトライしたんだけど、私たちより体が一回り大きいもんだから正座するくらいしかできなくて、結局は断念することに。
これで一件落着。かと思ったけれど、久しぶりにソファに寝転んで本を読める余裕の出てきた世帯主の上に私やひろのしんが集まるようになっちゃって、やっぱり世帯主は過酷な状況から抜け出せずにいるのだった。
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<今日の筆者>いとう・しずか
スコティッシュ・フォールド種。1999年大阪豊中市生まれ。しし座。得意技はラッコ寝と、後ろ足投げだしほふく前進。近所の動物病院では「スコティーのシズカちゃん」として人気。2歳年下の妹ノドカと、ヒロノシンという黒い雑種の雄ネコと同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
いとう・ひろのしん
雑種。1998年夏、大阪箕面市生まれ。かに座(推定)。きれい好きで、お人(猫)好し。忍耐強さと面倒見の良さには定評あり。得意技は洗濯機もぐり。しずか&のどかという血縁関係のないスコティッシュ・フォールド種の姉妹猫と同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
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