わが家はテレビをほとんど見ない。見るのは日曜日夜7時のニュースと、その後の「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」という自然科学系番組くらい。
狭いマンション暮らしなので、末っ子トラちゃん(3歳10カ月)の生活に合わせると、彼女が眠った後にリビングでテレビをつけるわけにもいかない。平日はバタバタしていて見てる暇もない。というわけで、日曜の夜は家族でテレビを見る唯一の時なのだけれど、実はテレビが大好きな私たちにとっても憩いのひととき。「ダーウィンが来た!」は動物がいっぱい出てくるので、ついつい画面に近づいてしまう(写真は画面に映し出された鳥の生態に興奮するひろのしん)。
というわけで、今日はトラちゃんが生まれる前、私たちがテレビをよく見ていた懐かしい頃のコラムをお届けします。2001年7月12日リリース分です。
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「大丈夫かなぁ〜」。大きな旅行カバンを手に世帯主がつぶやいた。「しーちゃん、いい子でね。のんちゃんのこと頼んだよ」。そう言って私シズカの目を見つめたの。
世帯主は週末、親類の法事で私たちに留守を頼んで旅立ったのだった。私とヒロノシンなら心配はいらない。でも、ノドカが家族に加わって初めての2泊3日の不在で、いろいろと心配してたのよね。
ごはんと水はもちろん、トイレもきれいなものを2つ用意した。でも、気になり出すと次々と気になり始める。敷いたばかりの新しい絨毯にげろよんされないか、マタタビの枝を勝手に捜し出してラリっちゃわないか、、、。でも、最大の心配事はテレビだった。
夏のボーナスの戦利品として、わが家には絨毯のほかに液晶テレビがやってきた。新製品だから形もシンプルで格好いいし、画面もきれいで見やすいから、買った本人は満足してる。でも、もっと喜んでいるのが私たち3匹なのよね。
特に喜んでいるのはノドカ。真正面のソファからじゃないとよく見えなかったのが、今はジャングルジムで寝ころびながら、大好きな野球やサッカーの試合が楽しめちゃう。コマーシャルも好き。最近じゃビールの宣伝を一生懸命見てるほど。
生後5カ月の未成年の分際でマタタビ遊びをたしなむ上に、アルコールにまでまで手を出すつもり? 育て方がいけなかったのかも、と世帯主は反省してる。
新製品の登場で、ヒロノシンまで大のテレビ好きになっちゃったのもいけなかった。世帯主の行動をよく観察してるヒロノシンは、マタタビをしまっている観音開きの戸棚や、玄関のドアの開け方を理解していて、時には実践しちゃうのよね。
そこに器用ときてるから、密かにテレビの電源の入れ方をマスターしていて、留守の間に、私たち3匹がテレビ三昧をするんじゃないかと世帯主は考えたみたいだった。
テレビ画面に集中すると、私たちはどんどん画面に近づいてしまう。至近距離で長時間見るから、近視になるんじゃないかというのも心配事の1つなの。
犬はもともと視力が悪いというし、高齢になって目が見えなくなるケースも少なくない。だけど、目の悪い猫の話は聞かないでしょ? 蚊やハエを追いかけたり、直径数ミリのトイレ砂を一粒ずつ認識してる。年を取って視力を失うという話もきかないし、、、。
いくら「近くで見るのは目によくないの」と言っても、私たちが素直に聞くとは思えないし、近視になっても、猫用メガネなんてどこにも売ってない。まずは私たち猫の視力について研究しようと、旅の道中、世帯主はひとり決意したのだった。
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<今日の筆者>いとう・しずか
スコティッシュ・フォールド種。1999年大阪豊中市生まれ。しし座。得意技はラッコ寝と、後ろ足投げだしほふく前進。近所の動物病院では「スコティーのシズカちゃん」として人気。2歳年下の妹ノドカと、ヒロノシンという黒い雑種の雄ネコと同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
いとう・ひろのしん
雑種。1998年夏、大阪箕面市生まれ。かに座(推定)。きれい好きで、お人(猫)好し。忍耐強さと面倒見の良さには定評あり。得意技は洗濯機もぐり。しずか&のどかという血縁関係のないスコティッシュ・フォールド種の姉妹猫と同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
★このコラムは某ウェブサイトで2000年1月〜01年9月まで続いた連載コラム「21C(世紀)の猫」のアーカイブです。現在の家族模様を織り込みながら、キャッ!といってしまいそうな楽しい話題をお届けします。
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