北方系の血を引く私は本当にとってもこの夏の暑さはたまらない。いい加減にして〜!って言いたくなっちゃうくらい。玄関や仕事部屋の隅など、とにかく涼しいところを探して寝転んだり、ひんやり廊下にお腹をつけたりしてなるべく涼しく暮らす工夫するしかないのよね。
そんな毎日で私が編み出した涼を得る工夫の一つが飲み水だった。
世帯主が顔や手を洗うために洗面所に向かうと必ず私もついていく。洗面所のわきには風呂場もあるから、世帯主がお風呂やシャワーを利用する時ももちろん「同伴」する。で、私は洗面台にジャンプして正座して待つのよね。
それはもちろん、洗面所の蛇口を開いてもらうのをよ。それで、新鮮な水を飲んで体を冷やすってわけ。
十分に飲んだ後に、わざと頭をぬらしちゃうこともある。涼しいし、パシャッと跳ね返る水の動きや、見ている世帯主の反応が面白くてやめられない。
台所の両端にある私たちのご飯場所には水入りの深皿が2つある。洗面所にも手桶が置いてあって、そこにもお水が入れてある。なるべく新鮮な水が飲めるよう、世帯主は洗面所に行くたび、手桶の水を入れ替えてくれる。
でも、さすがにこの暑さだからすぐにぬるくなっちゃう。それで私はなるべく冷たくフレッシュな水をゲットする方法を考えたのだった。
最近はひろのしんも同じような手法を思いついた。でも、甘えん坊系のヒロノシンのは私の確固としたやり方とは違って、おねだり系なの。
世帯主の前で控えめに振り返りながら目を合わせる。それから後ろを気にしつつ洗面所方向に進んでいく。お願いついてきてね、って感じで世帯主を先導してくってわけ。そして洗面台に乗り、水の入った手桶と世帯主の顔を交互に見つめる。
「ああ、冷たい水が飲みたいのね」
「ぁ〜ん」
「はいはい、入れ替えてあげるよ」
「ぁ〜ん」
というわけで控えめながらも、ひろのしんもフレッシュなお水を飲む日々というわけなの。
え、のどか……?
のどかはねぇ〜。相変わらず天然、野性系のままで、お水はお皿にあるやつでオッケー、とにかく涼しく寝たい系。ひんやりした玄関のたたきの上や自分のお気に入りの場所を見つけて、独自の行き倒れ涼み系路線を突き進んでいるのだった。やれやれ。
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<今日の筆者>いとう・しずか
スコティッシュ・フォールド種。1999年大阪豊中市生まれ。しし座。得意技はラッコ寝と、後ろ足投げだしほふく前進。近所の動物病院では「スコティーのシズカちゃん」として人気。2歳年下の妹ノドカと、ヒロノシンという黒い雑種の雄ネコと同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
いとう・ひろのしん
雑種。1998年夏、大阪箕面市生まれ。かに座(推定)。きれい好きで、お人(猫)好し。忍耐強さと面倒見の良さには定評あり。得意技は洗濯機もぐり。しずか&のどかという血縁関係のないスコティッシュ・フォールド種の姉妹猫と同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
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