ようやく梅雨が明けたとおもったら、あ、暑いですね〜。もう私たち家族はほとんど死体のようになって寝ています。みなさんもどうぞご自愛下さい。
以下、2001年8月9日リリース分のアーカイブです。
「しーちゃん、お年ごろの女の子なんだよ? 暑いのは分かるけど、そのかっこはやめたら?」
この夏、私シズカを見るたび世帯主は説得を始める。もともと体の軟らかい私だけど、暑さでピンと耳が立てばたつほど、足腰はどんどんフニャフニャになっていく。毛皮を着てるんだから当然でしょ? で、最近はこれまでになかった姿でくつろいじゃうようになったの。(上の写真)。
「せめて、前によくやってたほふく姿か、ラッコ寝にしたら?」。根気よく世帯主は語りかける。でもねー、これだけの暑さをしのぐには、とにかく楽なかっこが一番でしょ。まあ、ほふく姿は、足をこのまま真後ろに延ばせばいいとして、ラッコ寝は……。
仰向けに寝てみるけど、前と後ろの足がちぐはぐの方向を向いて体がよじれちゃう。直そうとすると、前足が頭の方にのびて、バンザイみたいなかっこになっちゃう。気合を入れても、それぞれの足が中途半端に広がったまま。
「なんかそれ、ラッコじゃなくて、仰向けに転んで宙をかくクワガタみたい」。世帯主に言われて私は決心した。もう一度、かっこいいラッコ寝をしてみせる!
ラッコ寝というからには、ただ仰向けに寝てればいいってものじゃない。正しいスタイルがあるのよね。まず、真上を向いて寝る。前足は手首を曲げて、胸の上にちょんと置く。後ろ足も左右に開いちゃダメ。のばしても縮めてももいいけど、やはり上を向けるのがポイントね(下の写真)。
というわけで、世帯主とともにラッコ寝の特訓を開始。毎晩、お風呂から上がった後、世帯主の柔軟体操が終わるのを待って始めるの。
私がごろんと横たわると、世帯主が真上に向かせてくれる。手で支えてもらいながら、前後の足を上に向けて姿勢を整える。世帯主が手を離しても崩れなかったらOKよ。
ところが、暑さで関節のねじが溶けちゃったのか、なかなかうまくいかない。だらりんこ〜んと、私の足はばらばらの方向に開いてしまう。「今日もダメか」。口に出さなくても、目を見れば世帯主の言いたいことはよく分かる。明日こそはと私も心に誓う。
そのうち、ヒロノシンとノドカが特訓の様子を見守るようになった。真剣な私たちを応援してくれてるんだと思ったら、大間違い。ある日、隣でそれぞれごろごろと転がり始めた。どうも私たちが遊んでると勘違いしたらしいの。
せっかくだから、ヒロノシンとノドカにもラッコ寝を教えようと世帯主は考えた。でも、ヒロノシンは手足が長くて仰向けになると左右に開いちゃう。ラッコというより、まるで黒こげになったサンマの開き。
ノドカは横向きのまま、器用に後ろ足だけ動かして逃げていってしまう。その様子はまるでミジンコ。かと思ったら、ダッシュで戻ってヒロノシンや私にじゃれついてくる。
正しいラッコ寝への道のりは、まだまだ遠いかも。
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<今日の筆者>いとう・しずか
スコティッシュ・フォールド種。1999年大阪豊中市生まれ。しし座。得意技はラッコ寝と、後ろ足投げだしほふく前進。近所の動物病院では「スコティーのシズカちゃん」として人気。2歳年下の妹ノドカと、ヒロノシンという黒い雑種の雄ネコと同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
いとう・ひろのしん
雑種。1998年夏、大阪箕面市生まれ。かに座(推定)。きれい好きで、お人(猫)好し。忍耐強さと面倒見の良さには定評あり。得意技は洗濯機もぐり。しずか&のどかという血縁関係のないスコティッシュ・フォールド種の姉妹猫と同棲。飼い主は麻布小寅堂店主。
★このコラムは某ウェブサイトで2000年1月〜01年9月まで続いた連載コラム「21C(世紀)の猫」のアーカイブです。現在の家族模様を織り込みながら、キャッ!といってしまいそうな楽しい話題をお届けします。
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